「風”しん”」とか、言葉の一部をわざと漢字で書かない理由
前回の記事で、2018年今年の漢字を「体」と予想したけど、
結果は「災」
ここ最近はネガティブな漢字は使われない、と踏んだんだが
見事に大外れ…。
↓以下の記事を参照
「風疹」じゃなくて「風しん」?なぜ?
今回も漢字にまつわる話題。
現在、パンデミックを起こしており、神奈川県では非常事態宣言も出された風疹。
このあいだ、抗体検査で保健所に行ったんだけど、
検査名称は「風“しん”抗体検査」と書かれていた。
書類とか、他の場所にも「風疹」ではなく、「風しん」と疹をひらがな表記。
なぜだろう?
別に「風疹抗体検査」って書くことは出来るだろうに。
そういえば、2000年初めごろ、北朝鮮の拉致問題が連日報道された時も、
「ら致」と表現されていたはず。
今回はこの理由について掘り下げてみることにした。
国の文書や新聞・報道では常用漢字を基準にしている
結論から言うと、漢字かひらがなかは、常用漢字になっているかどうかを基準に使い分けているんだとか。
さっきの「風疹」は風は常用漢字だが、疹は常用漢字でなかったから、ひらがなにしているんだって。
1946年の当用漢字制定、そして1981年には常用漢字の制定
で、この常用漢字というのは「一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として内閣告示「常用漢字表」で示されたもので、法令や行政の文書だけでなく、新聞、雑誌、放送など、幅広い場面で使われており、今は2136字が登録されている。
常用漢字以前には、1946年に告示された当用漢字というものが1850字あり、
主に公的な文書での漢字の使用を制限していた。
この当用漢字はザックリいうと、GHQ占領下の日本国内で、「漢字はいっぱいあって覚えづらい、民主化を妨げている」とまで認識された結果、使用する文字をいずれローマ字とかに統一し、漢字を廃止しようとする動きの中、当面使用する漢字として制定されたものである。
その後、漢字廃止論は結局無くなり、1981年に、今度は社会生活で常に使用する漢字の目安として、常用漢字1945字が制定され、今の常用漢字のベースとなっている。
2010年改正、191字が追加に
その後、パソコンの普及によって、書くことは出来なくても、打ち込んで変換して使用する機会が増えた漢字も出てきたことから、常用漢字表を改正し、191字を追加することとなった。
この際、新聞や書籍、インターネットでの使用回数なんかも基準に選んでいるらしい。
さっきの拉致の拉も改正時に追加になったのだが、一時期、社会的にも大きな話題になり、使用する頻度が増えたことによるものだろう。
人の名前は常用漢字+人名用漢字から使用可能
ちなみに、人の名前の場合には、
1951年には92字しかなかったものが、2017年時点で863字まで増え、合計2999字から選ぶことができるようになっている。
1993年、子どもの名前を「悪魔」と名付けようとして話題になったことがあったが、
実は「悪」も「魔」も常用漢字となってて、手続き上は名付けることが可能らしい。
…でもまあ、これに限らず、使って良ければ何でもいいじゃん!ってこたぁないっしょ。
まとめ
・漢字と平仮名の使い分けは常用漢字を基準にしている
・人名に使えるのは常用漢字2136字+人名用漢字863字(ただし、名付けは慎重に)
以上